ただ乗りのジレンマ

　あるところに格安の地下鉄が運行していました。格安のため、人件費を削り、駅は無人で２４時間運行しています。おや！？切符を買わずに改札を通り抜けてる人がいますね。そう、人がいないため、ただで通ろうと思えば簡単にできるのです。あなたは切符代がないわけではありませんが、お金が余ってるわけでもなく、節約できるのならその方がいいかな？と考えています。さて、あなたは切符代を払って乗りますか？それとも、ただ乗りしますか？別にただ乗りしたからって捕まることはありません。
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考察

　あなたが切符を買わなかったからといって、地下鉄の財政が破綻する可能性はゼロに近い。車両が空であろうが、満員であろうが、地下鉄は普通に運行される。一人ぐらい余分に乗っても何も変わらない……そう、あなたが金を払って切符を買おうが、ただ乗りしようが、何も変わらない。なら、ただ乗りした方が得じゃないか？ってことです。そのとおりなのですが、問題は「みんながそれをやったら、どうなるのか？」ってことです。結局、高い運賃を支払わなければならないってことになるかもしれません。最悪、運行が止まってしまうかもしれません。その場合でも、あなたの責任ではありません。少なくとも、あなた一人の責任ではありません、あなたが運賃を支払っていても結果は変わらなかったでしょう。あるいは何も変わらず運行しているかもしれない、それならば「ただ乗り」のし得というものです。この問題は「囚人のジレンマ」の大人数バージョンにあたります。そして、二人のプレイヤーで行われる「囚人のジレンマ」より、さらにずっと見通しの悪い問題です……。この例は極端なので、他にも例をあげておきます。「誘拐犯の要求に応じるかどうか」もただ乗りのジレンマの一つです。普通、人質が無事に返されるなら、身代金を払う方を選ぶだろう。だが、身代金を払うことが他の誘拐犯を刺激し、将来また、誘拐事件が起こる可能性を作る。誰もが一度として身代金を支払わなければ、誘拐はなくなるか激減するだろうに。他にも「社会主義の国におけるサボタージュ」、「税務署に収入の過少申告」などもそうです。自分で考えて見ましょう！考えてどーなるというものでも、ありませんが（汗）。
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